● 恋人たち
アットはトップのお坊さんの托鉢のお供で、ピーアは講堂
でのショーに出演している。2人は付き合って2年。
3ヶ月ほど前にピーアの具合が悪く重症病棟にいたことがあった。脳に菌がはいり、激しい頭痛を訴えてもがき苦し
み、高熱が3日3晩続いた。
頭がわれんばかりの痛みを紛らわすため、友人が馬乗りに
なって頭を押さえつけているが、他にどうすることもでき
ない。そんなときアットはも彼女に寄り添っていた。
重症病棟にきてちょっと症状が落ち着くと、恋人ができて
お互いにサポートしあう姿をよく目にする。
病棟でも【 恋ばな 】が飛び交う。
以前は、ムーが電話をかけている姿など見たことなかった。
ある人は、あんた携帯もってても全然ならないじゃん、電
話の意味ないよなんて、いじわるをいう人もいた。
【 HIVになったら人を好きになっちゃいけないの?
僕たちはそういう権利さえもなくなるってこと? 】
と、何度も聞いてくることがあった。
ある日、マッサージしている時にかかってきた電話で、
甘い声で話している。
恋人できたの?と聞くと、友達のインからだという。
てっきりふざけていたのだと思っていたが、嬉しそうに
【 気がつかなかったの?もう1ヶ月になるんだよ 】
という。
お相手のインは以前、
【 もう恋人なんか面倒。一人が一番!そう思わない?
自由だよ、いま 】なんて言っていたのだ。
二人は友達同士だったが、気が合い、よく話をしていた。
【 一緒にがんばって元気になろう!って、元気をくれ
るんだ。思い切って好きなんだけどなーと告白した
ら彼女も好きだと言ってくれた。今すごくハッピー
だよ♪ 】 彼のまわりにハートマークが飛び交う!
だったのが、一ヶ月ほど前にいきなり自力で座ること
ができた!そうか、愛の力もあったのか。
早く歩けるようになりたいなあ♪という。
インと一緒に散歩できるようになるといいね!
ムーの横にいたカップルは、さっき別れ話がでていた
ばかり。ナロンとオーッは2ヶ月一緒にいた。新しい
彼ができたんだって。
ムーは、にやけた顔で歌う。
【 ふられた男は泣きたいけど泣けないのさ~♪ 】
人生なにがおこるかわかんないよね、だって。
● ワン・ナライ フェスティバル
毎年ロッブリーでは遺跡を舞台に大きなお祭りがある。
今年は2月16日~22日。お祭りに参加する人も民
族衣装を着て遊びに行くんです。
ローカルフードや民芸品の展示即売や、遺跡でのライト
アップやショーもあり、夜は特に幻想的な雰囲。
今年は2月16日~22日。お祭りに参加する人も民
族衣装を着て遊びに行くんです。
ローカルフードや民芸品の展示即売や、遺跡でのライト
アップやショーもあり、夜は特に幻想的な雰囲。
☆遺跡を舞台とし、園内中にはりめぐらされた壮大なライ
トアップに、大掛かりな仕掛け、音響効果でお祭りは大
賑わい。
☆はるかむかし宮殿に暮らしていた人たちも遊びにきて
いるのか、写真にはまるで雪がふっているかのように
オーブがうつっていた。
☆当時は貝や石のかけらを貨幣としていたので、ここでは
クーポンのかわりに昔のお金に両替。
昔ながらの麺料理やおかしに飲み物もあるけれど、さす
が現代!フレンチフライやピザ風のものもありました。
☆やはり現役だった!
お祭りの演出として火も使うし花火もあるので、何かの
ときのために待機中。
(*筑西とは、茨城県筑西市のことでした)
● HIV感染者のためのリハビリ収容センター
2000ライ (セカンドプロジェクト)
(2010.8.16加筆修正)
☆この水は山からひき、この水を精製して飲料水を
自給している。奥に見えるのは建設中のバンガロー通称エイズ寺で知られるパバナプ寺は、タイ人であれば
知らない人がいないといってもいい程有名な場所です。
行き場のないHIV陽性者を引き取り、ケアをし、自立
して当たり前に暮らせるようなサポートしているが、患
者の中にはお寺で人生の最後を迎える方も少なくない。
しかし現在では抗HIV薬をのむことにより、HIV=死
ではなくなってきている。
セカンドプロジェクトは主に児童のため、そしてHIV
に感染していてもこれからどう生きるか、感染者ができ
るだけ通常の生活を送ることができるようにと考えてつ
くられた施設。
お寺の重症病棟で治療を受けて病状が落ち着き、ひとま
ず自分で自分のことができるようになると同じ敷地内に
ある軽症病棟へ移動する人もいますが、車で1時間半ほ
どのセカンドプロジェクトにも移る場合もある。
プロジェクト2は現在ほぼ5000ライ、現在も拡大中。
あればタイ国籍でなくても居住可能とのこと。
プロジェクト2施設内には、
☆ 居住施設
・女性のみ及び女性の同性愛者(感染者用)
・男性のみ及び男性の同性愛者(感染者用)
・家族 (感染者用)
・父母がいない子供だけの家 (感染者用)
・それぞれ年代別にの学生たちの家(感染者用)
・高齢者、障害者のための施設 (非感染者)
・従業員スタッフ、ボランティアのための住居
・ (非感染者)
・ひと家族につき犬一頭まで飼育OK
・女性用宿舎でも子供がいる場合は一緒に生活して
いる。
・それぞれのエリアはわかれているが、仕切りは特
にない。(※ 夜間の男女の行き来は禁止)
☆ 食堂
☆ 売店
☆ 病院1(感染者用)
☆ 歯医者(感染者用)
☆ 病院2
(僧侶、高齢者及び一般者用として 現在建築中)
(僧侶、高齢者及び一般者用として 現在建築中)
☆ 国立の教育機関
(幼稚園)
(小学校)
(中学校)
(高等学校)
☆ 学校も幼稚園から高校までタイ国立の学校と全く
同様のカリキュラムの授業を受けられる。
☆ HIV陽性者も陰性者も同じ学校に通う。
(生徒約900人のうち150人が感染者)
☆ 先生は生徒の状態を把握しているため、細やかな
ケアができる。
☆ 看護、獣医学の専門学校的施設
☆ 薬草の研究所
☆ 火葬場
☆ お堂
☆ 僧侶のための住居
☆ 調理場・食堂 (数箇所)
☆ サッカー場
☆ ナイター施設のある運動場(HONDAの寄付)
☆ 飲料水精製所
☆ 瞑想ができるスペース数箇所
3ヶ月に一度3日間の瞑想キャンプを開催
☆ 果物や樹木も苗から育てて植樹
☆ 鶏、あひる、豚、魚を飼育。
鶏のケージが池の上にあり、糞を魚が食べる。
人の食べ残しを家畜が餌とし、家畜の排泄物
を肥料にして野菜を栽培。
☆ 研究用の牛、水牛、犬がそれぞれ300頭のほか
馬や猫も飼われている。
☆ プラスティックやガラスなど、リサイクル物資の
有効活用。
☆ 一日三食、食堂で食事が支給される。
☆ 具合が悪ければ病院での治療は無料。
☆ 衣服、トイレットペーパー、女性に生理用ナプキン
も生活に必要なものは無料で支給される。
☆ それぞれの自立を目指しているので、できる仕事を
担当する。
・庭仕事
・掃除
・動物の世話
・高齢者の介助者
・建設、修繕作業
・運転手
・守衛
・キッチンのサポート
☆ 現金の支給
・入院中の人 ひと月 150バーツ
・自分のケアができる人 ひと月 300バーツ
・仕事ができる人
(1日6時間労働 週1日休日)1日 60バーツ
(職種や熟練度合いにより日給アップの機会あり)
☆ 学校は、HIV陰性でも希望すれば入学できる。
☆ 近隣の高齢者や障害者(HIV陰性)が施設内で
暮らしている。
現在はまだ少数だが、準備が整い次第希望者を受
け付けるそうだ。
見渡す限りの風景がセンターの敷地だなんて!
あまりに規模が大きくて写真にうまくとれない。
セスナでもないと全体を把握できないと思ってい
たら、全部を詳しく見るのなら3日かかるとか。
現在はHIV陽性者、HIV陰性者、スタッフと
あわせて1000人が、ともに生活している。
☆ 再会
病院を案内してもらっていたとき、椅子に座って
いる人に何気なく目を向けるとタナアティップだ
った!
寺では最近姿が見えなかったので周りの人に聞い
てみると、家に帰ったといっていた。
ここにいたんだねー!
お互いにびっくりしながらも、話しはじめたら、
【 本当に生きていてよかった。生きてたから会え
たんだ… 】
そういって手をあわせる… 熱くなった。
彼の生きててよかったという言葉は重みがあった。
2009年9月 パバナプ寺 重症病棟にて
2010年2月 セカンドプロジェクト 病院にて
● 移住
きたりしていることが多かった。
癇癪もちで、気に入らないことがあるとすぐあたる。
でも次の朝には【 おはよう♪今日もマッサージ~!】
と、手をあわせて甘える。
先月も姿がみえないと思ったら
【 先月病院で僕、電気ショックで蘇生したんだよ 】
…そうだったんだー。
プロジェクト2に行った次の日、
【 きのうどこ行ってたの? 】と聞くので、
【 プロジェクト2の見学に行ったの】 というと、
【 ぼくも明日向こうにいかなきゃならない。もう移動
するって。でも行きたくないもん。どうしてもそこ
に行かなきゃいけないんだったら、バンコクの王宮
広場で乞食してたほうがまし… 】と、泣きだした。
何を言っているのかわからないので聞いてみると、他
の子が嘘を吹き込んだらしい。
【 向こうに行っても誰も面倒みてくれる人もいないし、
ここに捨てられたのと同じように、おまえはまた捨
てられるんだよ。しかも、新しいところに行ったら
新入りはいじめにあうんだ! 】
でも、そう言った子もプロジェクト2には行ったこと
がなくて、本当のことは知らないのに。
きのう撮ったばかりの写真をみせた。
【 明るくてこんなにきれい。ちょっとプチリゾートみ
たいで私だって住みたいよ 】 というと、ちょっ
とは興味がでたようだ。
それでも
【 お寺にいれば寄付にきてお金くれる。向こういった
ってお金もらえない… どうしたらいいんだ~。】
そう言ってまた涙…。
いやいやいや、
病院でただ寝ている人でも、ひと月150バーツ。
自分で自分のことができれば、ひと月250バーツ。
仕事ができる人は、一日6時間労働で60バーツを、
お給料としてもらえる。
それを話すと【 ほんとー? 】 と泣き止んだ。
けれど、今度はどの話を信じたらいいのだろうと混乱
を隠せない。
出発間際にも【 もしほんとにいいところじゃなかっ
ったらバンコクで乞食するからいいんだ 】という。
出発直前。一緒に行く人もいて落ち着いたようだ。
この日は6人が移動した。
この日は6人が移動した。
出発直前のバーッとパン
タイでも路上生活者は多い。(*カオサンにて)
【 日本にもホームレスの人っている? 】というバーッ
の問いに、【 うん、いるよ 】と答えると、とても意外
そうに目を見開いていた。