2012年8月10日金曜日

【 滞在記17 】 【 2011. 4.30 ~  5.21 】 



     ● 雨季のロッブリー


       今年は例年よりも雨季入りが早かったという。
       写真はスコールあとの帰り道。空気が澄んでいて
       気持ちいい!



      ● 寄付その後 《 なんでもないようなものが… 》


        AIDS発症後、数え切れないほどの高熱、下痢、
        嘔吐、激しい頭痛を乗り越えた後に、まるで体の
        中のHIVと共存するかのように病状が落ち着く
        ような時期がある。

        命の山場をひとまず乗り越えたはものの、人によ
        っては麻痺や硬直、視力の問題を抱えながら生き
        ていく。


        お寺では、食事は3食の他もおやつや飲み物は山
        のようにあり、もし、着の身着のままで入所した
        としても生活に最低限のものは支給される。

        基本的なものは揃うけれど、ひとりひとりの状態
        に必要な物資は十分にお金を持っており、かつ、
        フットワークの軽い家族か友人がいなければ、手
        に入れることは難しい。

       

      ☆ ブラジャー
        寝たきりで入所したある女性は、下着を持って
        いなった。おむつ着用で虫の息だったので、
        家族は何も持たせず着の身着のままでの入所だ
        ったのだ。

        今まではブラジャーがなくてもそう困ることは
        なかったが、歩行訓練ができるようになったら、
        胸のことが気になって恥ずかしいという。


        左半身に硬直があり、左腕も震えが止まらない。
        その手ではブラジャーのホックが止められない。
        大人用のスポーツブラを探すが、サイズが見つ
        からず3件目でようやく見つかる

        障害のある方々はどうしているのだろう?
        専門のお店があったら見に行ってみたい。
   
       ☆ くつ
         やわらかくてすべらない、ぬれてもよくて通気性
         のよいものがいい。麻痺があっても歩行時にもぬ
         げないように丁度のサイズを選ぶようにする。   


     ☆ めがね(老眼・近眼)
       加齢も関係しているかとは思われますが、視力にも
       大きな影響が及ぶ人が多いです。

       まずは、いくつかのおおまかな度数のメガネをサン
       プルとして用意し、それぞれのおおよその度数を把
       握することにした。

       もし度数があわなければ交換が可能ですよー!とい
       うおばさんのお店で購入することに。

       私物を管理しづらい人もいるため、紛失しないよう
       にケースとストラップも用意してみた。

       めがねを手に入れた人をみて、私も私も!!と、次
       々と希望者がでてくる。
       こんなに眼鏡を必要としている人がいたとは!!
       市場へ3度足を運んで、15個の眼鏡を用意できま
       した。




        ☆ じょうご
        冷水機からペットボトルに水をくんできて!と、頼
        まれることが多いけれど、注口が大きく、どうして
        もこぼれてしまう。もったいないよねえ。
        それに、水がこぼれていると床が滑って危ないんで
        す。私をはじめ何人の人がコケたことか!
         
   
      ☆ いびきストップ
        激しいいびきをかく人に~
        効果はありそうだったのに、残念ながら本人管理
        が難しく、いつの間にかどこかにいってしまった。
   
      ☆ 袖なしシャツ
        暑がりで袖があると、あせもができてしまう人に


      ☆ エアークッション
        事故で、一部頭蓋骨がない人に

   
      ☆ シャンプー
        特定のものでないとアレルギー反応がでてしまう人に


     ☆ バッグ
       盲目だが壁をつたってトイレやシャワーに行く人に。
       ビニール袋にお風呂道具をいれて行き来していたが、
       水がきれずに臭ってしまう。
       風通しのよい網目のバッグを発見。

     

       ☆ 抱き枕 カバー       
       傷や痛みがあると、どの姿勢でいても寝づらいもの。
       以前にも抱き枕を持っていったことがあるが、すぐ
       に無くなってしまう。どこにいっちゃうんだろう?

       おしっこがもれて枕もびちゃびちゃ。
       洗濯に出したこともあるが、係りの人はできないと
       言い、捨ててしまうのだそうだ。

       そこで、カバーを買って中に毛布をつめてみること
       にした。汚れたらバラして洗濯できる。これは大人
       気だった。

       市場でいくつも買う私に【 日本にはないの? 】
       と、おばさんが不思議がる。

     【 お寺のボランティアなんだけど、痛みで寝るのが
       大変な人にあげるんです 】というと、

       売り場のおばちゃんが【 よし、あたしもタイ人だ。
       まけちゃうよ!あたしはそのお寺に行ったことない
       けど一緒に徳をつもう! 】そう言って、大幅に値
       引きしてくれた。ふとっぱら!

       その話をすると、お寺の患者たちも嬉しそうだった。
       みんな応援してるからね、元気になって! 








     ● VIP訪問 


       20数カ国から、HIV/AIDSの研究に携わる大学
       の教授、医師、日本からもJICA所属の方がお寺を訪
       れた。ロイヤルファミリーの関係者がいると、いうこと
       でVIP並みの歓待になった。

       バンコクのマヒドン大学の教授がリードして、トップの
       僧侶アロンコット師を迎えての質問の時間があり、私も
       ボランティアの立場から感想を話すように頼まれた。
       日本語でも説明するのが大変なのに、英語でだなんて!

       メインであるトップの僧侶に対する質問では、アフリカ
       の男性が質問に立った。



     【 こんなウイルスだらけの人間だけあつめて、危険な
       病を更に世の中にふりまこうというのか!空気に仕  
       切りはつくれはしないのに、そのへんの対策はどう
       しているのか説明してほしい! 】
        いきなりものすごい剣幕で詰問調で話す様子に、場
        はざわめいた。


        司会の方の采配で場が収められ、重症病棟へと移動
        すると、ここでも先程のアフリカの男性が言った。

      【 ここが重症病棟だって?死にそうな患者はどこにい
        るんだ! 】


       この方の個人的なお話を聞くことができなかったの
       が残念だが、何かの強い思いがあるように思った。
       重症患者はどこにいるという感想はこの方に限らず、
       医師や看護士の方からよく聞く言葉ではある。

        そういうときに限って危篤状態の方が亡くなったば
        かりだったり、人の目に触れづらいところに大きな
        傷があったり、わかりづらい症状を抱える人が多い
        時だったりする。
        でも、危篤の人を目にしたら何かが変わるのだろう
        か?

        どこの悪くないように見える状態から急変、一週間後
        に息をひきとる方もいる。
        予後がまったく予測がたたないという特徴を持った病
        であるという認識のある医師でさえ、そんな感想を持
        つのだ。





      ● 共同体として


        共同体の働きが強化された頃から、HIV陽性者が受
        け持つ仕事もより責任ある仕事を任されるようになっ
        たり、お寺のスタッフも朝8時からの寺院内の掃き掃 
        除に加わり、共同作業の場が増えている。

        同じ場所に暮らすには、お互いが歩み寄り、協力し合
        うことが必要になる。



     ☆ オフィスにて
       ガイとトゥックが対外的な事務処理や電話対応を
       担当しています。





     ☆ 患者、寺の職員用の食事を調理する厨房にて
       高熱と頭痛に悩まされ通しだったエーも、症状が落
       ち着いた今は調理のお手伝いをしています。