● ご臨終
重症病棟の裏には棺桶が無造作に積んである棺
最初見た時、なぜこんなところに!と驚いた
死に近づいてくると、大抵は
食事を受け付けなくなり
水分さえ喉を通らなくなる。
目の焦点があわなくなり
呼吸が、あるリズムにかわる。
便の形状がかわる。
肛門がひらいてくる。
この時期にはあちらとこちらを行き来している
ようだ。
息を引き取られたあとはその場で体を清めたあ
と、全身にベビーパウダーをはたき、鼻に口に
耳に肛門に綿をつめる。
まっさらな白い服を着せ、大きな白いシーツの
ような布で全身をくるんで、棺桶にいれて運び
出される。
その作業は、看護士、患者兼スタッフ、または
ボランティアが行うが、みな手馴れている。
周りの患者さんは、棺桶にそっと小銭を入れる。
親しかった人が亡くなると、涙にくれているこ
ともあるが、大抵はすうっと日常に戻る。
私物が整理され、ベッドが清掃されると他の病
棟から遊びに来る人が寝転ぶ。
あまりにあっという間のことで、まるで何事も
なかったかのようだ。
火葬場でお焼香
誰かが棺にいれたピンクのブーゲンビリア
さっきまでそこにいたのに。
最後の清拭のときもまだ温たかかったのに。
死がとても身近にある。
悲しい、寂しい。
だが、死は誰にでも平等に訪れる。
明日のことなんかわからない。
だから 今を 生ききる。
● 寄付 その後…《 滞在記3 【調査第1弾】 以降 》
パバナプ寺に興味があるけれど、実際に訪れる機会がな
いので、かわりに何か必要なものをお届けしてください。
そう言ってお金を預けてくださった方々からお預かりし
た寄付金+自己資金から、今回はお届けすることになり
ました。どうもありがとうございます。
【 あったらいいのに! 】 は、たくさんある!
【 はえたたき 】
病棟は空気の入れ換えのため、一日中ドアをあけている
ため、どうしてもハエが集まってくる。
充電のできるテニスラケット型の電気ショックタイプも
持っていったが、2ヶ月で行方不明になった。
【 ゴムボール 】
手に筋肉の硬直がある場合、常にチカラが入りっぱなし
で爪が掌にくい込み、ダメージがでることもある。
ゴムのクッションで硬直の緩和はできなくても、少なく
ともダメージは少なくできるだろう。
【 爪きり各種 】
元気になって仕事ができるようになった人でも、長く
伸びた爪の人が多い。どうして切らないのか聞いてみ
ました。
○ 自分で切ると、ひびいて痛い
○ 手にチカラがはいらず、つめきりを使えない
○ 爪に厚みがでて硬くて切れない
○ 気力がなく、衛生管理に気が回らない
日本の百均ショップで何種類か購入しているが、まめ
に買い替えないと切り口がぎざぎざになって使えなく
なる。
【 まくら、クッション 】
寝たきりの場合、体重がかかっている箇所の皮膚に
ダメージがでる。無論そうならないために体位を替
えるが、2時間毎などと徹底することは難しい。
むくみがひどい場合は足の下に、首の高さの調整、
腰が痛いときに腰や背中にいれるなど、用途はさま
ざま。
(今回は予防のため柔らかすぎないものをチョイス)
【 ハーブボール・薬草いりバーム 】
硬直、麻痺、重度の浮腫は、ただふつうにマッサージ
しただけでは、なかなかゆるまない。
11月~1月の乾季には朝晩かなり冷え込み、手足の
筋肉も関節も冷えて固まってしまう。
蒸したハーブボールを患部にあてた後にマッサージを
すれば薬草の薬効と温熱効果もあり、自然のアロマ効
果もある。寝たきりの方、足にむくみと痛みのある人
に試してみた。
☆まずはお湯に塩をいれた足湯から
(寝たきりや傷がない場合に限り)
腎臓病を患う僧侶からもハーブボールの希望があった
※タイの仏教では女性が僧侶に触れることは許され
ないが、今回は看護師とみなすことで例外の扱い
となった。
それでも事情を知らない人や、特に年配の女性な
ど、【 まあ、なんてことを!! 】と眉をひそ
める人もいた。
☆長期間にわたり様々なものを運んでいるうちに、
時折お寺サイドでキープしてあったストックが
姿をあらわし、病棟で使われるようなったもの
があった。
○ アイスノン
○ ゆたんぽ
○ ゴムボール
○ エアコンプレッサーつきベッド
○ 電気コードつきあんか
○ マッサージ用クリーム
○ ワセリン
○ 石鹸
○ 薬草気つけ薬
オランダからのボランティアグループからはシャワー
でお湯が使えるようにと給湯器が4台、エアベッドを
数台を数年前に寄付したことがあるとのことだが、壊
れてしまい、修理も不可能。紛失したものも多い。
以前看護師がハーブボールを使ってケアをしていた頃
もあったというが、ハーブボールを使う際は建物の中
で蒸すと熱がこもるのを防ぐため、外で蒸し器を置く
か、午前中のみにしてほしいとのことであった。
実際に使ってみての感想 … 効果はバツグン!
しかし、手間と時間がかかり、日に数人にしか提供で
きないことを思うといつも使える訳ではなさそうだ。
お寺に通うようになって、この9月で1年がたった。
必要とされているものは何で、どれくらいか、調査を
重ねたところ、ある意味では実は、モノやお金は足り
てない訳ではなかった!
モノがあっても必要なところに届ける人がいなければ
届かないのだ。
患者の様子を日々みながら症状の変化にあわせて必要
なものを持ってくるような担当にあたる人がいない。
倉庫に長期間保存するうちに使えなくなるものも多い。
私は寺の従業員ではないため、どうしてもタッチでき
る部分ではない。
結論としては現状の通り、細かいものはその都度現地
調達し、人の手を要するものはその都度持参して様子
をみることにする。
今できることに集中しよう。