2012年8月10日金曜日

【 滞在記14 】 【 2010.11.29 ~ 12.15 】 



     ● 乾季のロッブリー


      ☆ ひまわりで有名なロッブリー県

        この時期は見渡す限りの黄色いじゅうたんが圧巻
        ですが、今年は洪水の影響が色濃く、観光地でも
        かなり小ぶりな小まわりとのこと。

        お寺の近辺も、ふだんの三分の一ほどのミニミニ
        ひまわり。

      ☆ この時期の風物詩
         1年のうちでも乾季といわれる11月~1月終り
         までのこの時期。
         あちらこちらで木々が強風でこすれて自然発火の
         火事がおきる。

         ある日数えてみると、お寺の帰り道に見える範囲
         だけでも18ヶ所から火があがっていた。
         しかも、自然に消えるのを待つだけで…消火活動
         しないんですって。
           
         お寺にもセカンドプロジェクトにもそれぞれ敷地
         に消防車を設置しているのがうなづける。


  




     ● 世界エイズデー


       毎年12月1日は世界エイズデー。
       この日は世界規模でのエイズ蔓延の防止、エイズ患者
       やHIV陽性者に対する差別・偏見の解消を目的とし、
       1988年世界保健機関により定められた国際記念日
       である。
     
       世界中で様々なイベントが行われ、今もなお世界中で
       エイズで苦しんでいる人に向けてメッセージを送り、
       啓発活動を通じてエイズ撲滅のキャンペーンを行う。
                    ( WIKIPEDIA より)


       


       

         昨年パバナプ寺では、冬の時期のお祭りにブー
         スを設置、ウエディングドレス姿の患者さんを
         はじめ、他にも着飾った患者さん達が、エイズ
         予防メッセージを貼り付けたコンドームを配っ
         ていた。


         今年は甚大な洪水被害のあとということもあり、
         対外的な活動は控えていたが、重症病棟の前に
         展示スペースが設置された。

         HIVにかからないためには、こんなことに気
         をつけましょう!
          
         山盛りコンドームの手前には【どうぞ、ご自由
         にお持ちください!】 とのメッセージ。
         一番持って行くのは内部の人だったりして…


        陸軍の駐屯地が多いロッブリー県。
        軍人さんの見学がひっきりなしにやってくる。
        この日は重症病棟にやってきた人々に、笑顔とともに
        プレゼント!

        軍人さんはせいぜいが18歳から20代。
        恥ずかしそうに下を向いて足早に通り過ぎていく。

        そんな若者に
        【 ほら、みんな自分の体力知ってるでしょー?
         遠慮しないで、チカラあまってる子はいくつでも
         持っていっていいんだからね♪ 】 と声をかける。

      
         おい、中学生かっ!!
         コンドームを風船にして遊ぶクンマン
        
見学にやってきた団体が患者さんに配っていたポーチ。
そこには 【 SAFE SEX LIFE 】
ある患者さんが 【 私にはもう必要ないわ、このスロ
-ガン。MAMIも気をつけなさいね! 】そういって渡
         してくれた。

       
        
       これは個人的な感想ですが、
       エイズデーってどちらかといえば、感染者より非感染者
       のための日。

       ☆ エイズに対して正しい理解を深める。(感染予防策)
       ☆ これ以上蔓延させない。

       でも、これをきっかけとしてHIVは簡単にウツラナイ
       って、わかってもらえたらいいね!






     ● 取材


       世界エイズデー前後のこの時期は特にメディアの取材が
       重なることが多く、去年はタイの国営放送、イタリアの
       雑誌、ロイター、日本のTBSが取材にやってきた。


         
       ☆毎年取材にやってくる ロイター ピーター氏
   
      ☆社会化見学ツアの高校生 患者さんにインタビュー
      

       いつごろ、どのように感染したかに加えて
        ○ 病状はいかがですか
        ○ 寺への滞在期間
        ○ 居心地はどうですか
        ○ ご家族はどうされていますか
        ○ ご家族に対してどう思いますか
        ○ ここではどうやって過ごしていますか
        ○ 何か必要だと思うものはありますか
        ○ 元気になったら何かやってみたいことはありますか
         

        患者さんは一様に丁寧に答えている。
        いきなりの見ず知らずの訪問者にプライベートなことを
        聞かれてどんな気持ちなのだろう?

        ほとんどの人がなんだか嬉しそうにも見える表情で応対
        している。まるで親戚の人でも迎えているよう。
 
        【 あなたたち、一生懸命勉強しなさいね!間違っても
          エイズなんか貰っちゃダメよ! 】 と励ます姿も。

    
     
☆《 タイ テレビ局チャンネル5 ディレクター(写真右)
レポーター(写真右から2番目)と打ち合わせ中 》

       タイのテレビ局チャンネル5もエイズデーには毎年特集
       を組んでいるそうだ。

       今年はお寺で活動するボランティアにスポットをあてて
       いくそうで、重症病棟でのふだん通り働く姿を撮りたい
       とのこと。

       タイ語でインタビューに答えるのは至難の業…
       なんとか切り抜けたものの冷や汗だらだらでした。
     

      《 インタビューの内容 》

       ☆私が患者さんにマッサージしているところにて、
       Q.どうしてマッサージするんですか?
       Q.マッサージするとどういった良いことがありますか?
       Q.私がするんだったらどんな風にしたらいいでしょう?


       ☆マッサージされている患者さんに、
       Q.マッサージしてもらってどう思いますか?
       Q.他にしてほしいことはありますか?


       ☆日本人男性ボランティアがマッサージしているベッド横で、
       Q.ボランティアに来たのはなぜですか?
       Q.エイズの人に接していて、うつるんじゃないかとい
         う恐怖はありませんか?
       Q.ここにくる前はエイズという病気にどういう印象を
         持っていましたか?
       Q.実際この場に来て、最初の印象とはかわりましたか?


       ☆マッサージされている患者さんに、
       Q.マッサージをしてもらってどう思いますか?
       Q.気持ちいいですか?
      

       ☆髭や髪をカットするオランダ人ボランティア夫婦に、
       Q.どうしてカットしてあげているのですか?
       Q.他にはどんなことをしますか?
       Q.ボランティアにきてどう思いますか?


       ☆病棟の前で私に、

       Q.ここにきてどれくらいになりますか?
       Q.HIVがうつると恐怖を感じたことはありますか?
       Q.患者さんと接していて思うことはありますか?
       Q.このお寺に対してどう思いますか?
       Q.日本とタイではHIVに対しての印象は違いますか?
       Q.これから先もここでのボランティアを続けますか?
       Q.ここにいる患者さんをケアする場合に、注意する事
         があったら教えてください。
       Q.何かタイの人に伝えたいことはありますか?



       今まで雑誌や新聞、テレビ局などの取材を受けた。
       日本からもTBSテレビがきたことがある。

       たいていはインタビューと、ふだん通りに動いている
       ところを撮影される。
       それくらいであれば、そう困らないのだが今回の取材、
       チャンネル5の場合はちょっと戸惑うことがあった。

       もともと、お寺や患者さんのありのままの様子を伝える
       というよりも、偏見と差別を強く持つタイ人に対して、
       タイ人のボランティアをもっと増やそう!という伝えた
       いことがあったため、マッサージを受けている患者にも

      【 やさしく接してくれるボランティアの人には、とても
        感謝している 】と、無理やり言わせようとしたり、
       お涙ちょうだいコメントを言ってくださいとの注文があ
       り、いくつか誘導尋問のような場面もみられた。



       以前こんなことがあった。

       お寺にきて感銘を受けたというバンコク滞在の日本人の
       方が、バンコクの日本人向けFMラジオ局を紹介して下
       さった。
       生放送でぜひお寺のことを話して下さいとの話だったの
       ですが、紹介者の方が席を外した途端、

      【 いやー、うちでは病気や死の暗い話は避けたいんで
        すよ。その部分に触れないならいいんですけど… 】
        と言う。

       結局、5分の間に聞かれたことだけに答えることに。
       私の職業についてもお寺のことも、ラジオ局のタブー
       ばかり~!結局話せることは何もなく…

       間をとりもった紹介者の方をたててのお義理の取材だっ
       た。どのメディアにもカラーや得意分野はある。

       しかし、もともと何か意図があると、ありのままを伝え
       るのは難しい。