2014年4月30日水曜日

【 滞在記40 】 【2014. 4.12 ~ 4.14 】






        ● ソンクラーン

        ソンクラーンとは、タイにおける旧正月のことであり、
        現在は政府によって4月13~15日(西暦)に固定
        されていて祝日となっている。また、この期間の前後
        約10日間はソンクラーン期間とよばれ、祭典が行わ
        れることがある。
        ソンクラーンの語源である、サンスクリット語では、
        【変化・移動】を意味する言葉である。

        もともとは、純粋に新年のお祝で家族が集まって仏像
        や仏塔に水をかけてお清めをしたり、家族の年長者の
        手に水をかけてお清めをして相手に敬意を示す。お清
        めを行う期間であったが、のちに水のかけあいに発展
        したため、現在では祭りの色が濃い。
        (Wikipediaより抜粋)


        寺では、毎年この時期の日曜日にソンクラーンのお祭
        りを行う。
        
        22年前にHIVの重症者を受け入れた際は、どこに行
        っても、日々の托鉢さえままならず村八分状態になり
        コミュティから締め出される寸前だったが、現在は
        近隣からだけでなくバスツアーを組んでお祝いにやっ
        てくるほどになり、敷地内は歩くのもままならないほ
        ど人であふれかえっている。







        重症病棟にいる人で動ける人は、散歩がてら杖をついて
        でかけたり、車椅子でおでかけ。催し物やお祝いの儀式に
        参加して、ごちそうをほおばり、新年のお祭りを満喫して
        いた。

        以前寺にいて、現在は外で自活している人々もタイの正月
        やその他のイベントの際に仲間を訪ねてやってくる。


             

        重症病棟にいる友人にも水かけの祝福をする。

        具合の悪い人には、手に水をかけるだけだが、まあまあ
        状態のいい人には、背中にかける。きゃっ!つめた!!
        水をかける人もかけられる人も、みんないい笑顔(^。^)
        

 
        
          突然の訪問に、懐かしくて思わずなみだ(ToT)/
        

  
        
       


         ● マリ

           
   

         マリは、とても手先が器用!
         重症病棟の入口に咲いていた白い花をみつけて、器用に

         糸に通してレイをつくった。【祝福のしるしよ!新年お
         めでとう♪】といって、私にもかけてくれた!
         ありがとう~(^0_0^) 

         まだ元気なときは、家でお姉さんとビーズや石をつなげ
         て、ブレスレットやネックレスなどをつくっていて販売
         していたことがあるそうだ。いろんなデザインを考えな
         がらつくるのが楽しかった~!と話してくれた。

         ほんの1か月前には高熱で寝たきり、食べ物もろくに食

         べられずにいた。いまだに、手の甲に原因のよくわから
         ない痛みや、おしりに床ずれ、突発性の高熱に悩まされ
         てはいるが、ひとまず食欲がでて、ずいぶんと気力がで
         てきたヽ(^。^)ノ

         マリは、正義感が強くて、他の人が理不尽な目にあって
         いる人がいると、【そんなのおかしいよ!】と伝えるこ
         とができる。
         自分が疎まれることがあるかもしれないとしても、それ
         でも他の人のために声をあげることができる人☆   




       



         ● まくら 

         消耗品のひとつに枕がある。
         もちろん枕カバーは使用しているし、ほぼ毎日洗濯した
         ものに換えている。

         しかし、エアコンのない扇風機だけの病棟で高熱でうな
         されることの多い人たちの枕は、すぐに汗やよだれ、脂
         でぼろぼろになる。枕カバーも洗濯してもこびりついた
         臭いがとれない。

         新しく入所した人に与えられるのも、使い古されている
         ものになる。それはもちろん枕だけではない。

         寺では寄付された物資でまわっている。
         新品の枕の寄付はそうそうないのだ。それに、寺の従業
         員の使うものも同じように寄付されたものから使われて
         いるため、悲しいかな、一番必要なはずの患者のものま
         ではまわってこないのが現状だ。

         周期的に様子をみて購入して寄付しているが、数もまと
         まるとけっこうかさばるため、車の手配も必要になる。
         なかなか思うようにいかない。

         枕カバーやシーツ、服も、重症病棟のものはまとめて洗
         濯され、洗濯後のものもまとめて置いてあるが、せっか
         く新しく購入しても、新しい質のいいものばかりがいつ
         の間にかなくなってしまう。軽症者の人が、いいものが
         あると持っていくため、その結果、重症病棟には結果的
         に古いものばかりになる。         

         何でも新しいものというわけにはいかなくても、せめて
         肌にふれるものだけでも、心地よく使えるぐらいのもの
         にできるといいのだが。



    









2014年4月28日月曜日

【 滞在記39 】 【2014. 3.31 ~ 4. 1 】






        ● 息子 

              トムは体質的に膿がたまりやすく、後頭部にピンポン玉ほどの
              膿がたまってはしぼりだすということが何度かあった。
              HIV薬の副作用で、腕にぽっこんぽっこんと大きな瘤状のもの
              ができている。

              そんなトムが、犬のごはんを用意してあげているところに通り
              かかった。犬を飼っていたっけ?と思ったら、車にひかれて腰
              の骨をおってしまった犬がいたので、放っておくことができず、
              面倒をみているという。


   


   
        

              動物病院にも連れていくが、1回で1000バーツはかかる。
              交通事故の傷が癒えていく段階で膿がたまるとしぼってあげる。
              【ボクも膿では痛い思いをしてるから、よくわかるんだよー。
              なんか他人事とは思えずに、息子ができたみたいな気分。もと
              もと特別犬が好きというわけじゃないけど、これも縁だよね。
              歩けるようにはなるかどうかまだわからないんだけどさ。】

              寺では、具合が悪い犬や猫が多く目にするが、とても親身に面
              倒をみている人が多い。自分のことだけでも大変だろうと思う
              けれど、痛みを知っているからやさしくなれるのかな?
              でも、【やさしいね!】というと、【え?普通だよ~】と、い
              たって自然体なのだ。  
                
             ※ HIV薬全体の主な副作用には、胃腸障害(吐き気、下痢など)
               頭痛、発疹、高脂血症、糖尿病、骨密度低下、出血傾向、
               神神経系症状(うつ状態、集中力低下、眠気、不眠など)、
               肝機能障害、腎機能障害、心血管疾患(心筋梗塞など)があ
               ります。
               そして、HIVウィルスをおさえる効果のあるものが、代謝に
               関する副作用や合併症を発症する原因にもなっている。





         ● リサイクル

               施設中では、4年ほどまえからリサイクルできるものを集め
               て活用している。

               タイではごみは日本のように分別しての収集ではないので、
               すべてまとめて出すことができる。(現在は、コンドミニ
               アムなどの清掃を仕事とする人などが、まとめて分別して
               リサイクル可能なものを売りに出してお金にしている。)


    
                  まずはそれぞれの場所で、缶、瓶、プラスチック
                  段ボールなどなど分別して保管する。
         


    
                  プラスチックは、洗浄してから包装やふたなど
                  材質の異なるものを手作業で仕分けをするが、
                  かなりの量になる。
     

       
   プラスチック専用の粉砕機の電源をいれて
    ぽんっと放りこむと…
     

    
                      あっという間に、細かいチップに!
                      この状態で業者に引き渡しとなる。

              そして、残飯は犬や猫のごはんになる。
              タイならではのトウガラシの炒め物などパンチのきいたものが
              多いけれど、軽く水で洗うだけなのでまだ辛そうだが、大喜び
              で食べている。




        ● ブータン王国 
          HRH Princess Ashi Kesang Wangmo Wangchuk王女
          パバナプ寺ご訪問 

                      31th March, 2014 王女陛下は2011年9月につぐ2度目の
                     パバナプ寺をご訪問された。
          (2011年9月滞在記はこちら)
           http://aidshospice.blogspot.com/2012/08/blog-post_7522.html

         前回ご滞在の際にできたご縁で、パバナプ寺で通訳とご案内を
         とのご依頼をいただき、ご一緒させていただくことになった。
         今回は王女殿下の従姉にあたる王女殿下とロイヤルファミリー
         メンバーの4名でのご訪問であった。


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          【前に来たときは、あなたの家族が。きているときだったわね?
          一緒に写真をとったこと覚えているわ!みなさんお元気?】
          とおたずねになられていた。

              
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          【調子はいかがですましたか?顔をみると、どんな様子だったか
          昨日のことのように浮かんでくるわ】 とのお言葉に大喜びのワーン。



               
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          元僧侶で手相をよむことのできるヤンヤンとの思い出話しに 
          思わず泣きだしてしまったのを見て涙ぐまれる王女殿下。  


               
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            ムーという名前は、Pigという意味なんですよ!とお伝えした
            ことを覚えていらして、【あら、Pig!ずいぶんよくなったわね!
            そんなあなたにまた会えて私もうれしいわ!】と聞いて、照れ
            まくるムー。
 


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            前回の最近は横になったままで座る姿勢もままならなかった
            クンマンも、なんだか調子がよくなったみたい!



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             前回の訪問時にとても印象深かったという、トンテンとの再会を
             特に望んでいらした王女様の【彼女はどこにいるの?】という
             呼びかけを聞いて急いでかけつけた再会の様子。


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               前回、ひとりで部屋にこもるワロップを気にかけて
               勇気づけられていた。


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               突然の訪問で、服を着ていなかったため恥ずかしがって
               トイレで必死に服を着ていた彼に【Don't be shy!】と、
               服を着るのを手伝われていた。
                  

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                エイズ脳症で視力を失ってしまったユイのことがとても
                印象深かったとのこと。
                【彼女は今どこの部屋にいるの?】と、再会が待ち遠し
                い様子だった。 ようやく再会できた!
  
                  

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            言葉を話さないティーノイに【わたしのこと覚えているかしら?】
            と、訊ねたら、OK!のサイン♥


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            たった1日しかないタイ滞在の非公式のご訪問に、一番
            望まれることを伺うと、時間が許す限り患者さんと一緒
            に過ごされることだけを願われていた。


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            ひとりひとりに【It's for your good luck☆】とお声がけ
            されながら紙幣を渡されていた。



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                Photo:
              寝たきりの患者さんのおむつ替えをされる王女殿下  
 ボランティアが実際にどんなことをするのか、同行されたファミリーの方々に見てほしい
 と希望されていた。
 ファミリーの方々もぜひ機会をつくってパバナプ寺でボランティアとしての体験ができる
 ようにしたいとのお考えがあるという。


      Photo:  Photo:

     (Life Museumにて) わずか7歳にしてHIV で亡くなった子どものミイラの前で

最初のご訪問から、またぜひ訪問したい!と熱望されていらしたが、ご多忙なため、2年半後にようやく叶ったわけだが、【実際に患者さんに再会してみると、最初の訪問が昨日のことのようにたくさんのことが思い出されて、自分でもびっくりしたわ!私のなかには、もうみんなが住んでいるのね。私の人生でもとても特別な場所よ。本当にまたみんなと会えてよかった!】と、瞳をきらきらさせて話されていたお姿が印象的だった。



入所者をはじめ、寺の従業員やボランティアにも細やかなお心づかいで接してくださる様子に一同大興奮\(^o^)/
あたたかい微笑みと力強い抱擁はいまもかわらず、惜しみなく注いでくださる愛情に感激のあまり涙があふれる人も多く、なによりの励ましとなった。



  
        









        

2014年4月25日金曜日

【 滞在記38 】 【2014. 3.09 ~ 3.10 】






        ● アリ 

        病棟でどうしてアリ?と思われるかもしれないけれど、タイ
        では日本と違って食べ物に群がるだけでなく、人も噛むのだ。
        これが病棟のベッドにもあがってくる。
        1mmほどの大きさだが、微量ながら毒もあって噛まれると
        痛みやかゆみ、みるみる間に熱をもち、水ぶくれになること
        もある。一度出没すると、何をしても退治することが難しい。
       
        基本的には多くの人が、ベッドの上に生活のすべてがあると
        いってもいい。食事も当然ベッドの上になる。
        シーツは毎朝替えるのだが、ちょっとでも食べこぼしがある
        と、すぐにやってくる。1匹、2匹と姿がみえると…次から
        次へと列がつながっている。

        


 
        起き上がることができれば、アリを払うことができるのだが、
        寝たきりの状態ではただただ噛まれ続けることになる。
        写真はあまりはっきりとうつっていないけれど、無数の噛ま
        れたあとが、かさぶたになってしまっている。

        タイの人は、アリが出没するとタルカムパウダーをまいて足
        場を奪ったり、アルコールを吹き付けて撃退しているが、そ
        の部分にいるアリには効果があるが、5分もするとまた他の
        アリでいっぱいになる。

        ベッドの足にもパウダーをまいてみた。もっと強化するため
        にパウダーを容器にいれてもみたが、なんと、ベッド自体に
        巣をつくっていることもあるだなんて!
 
    

   
        ベッドを外にだして洗浄、駆除したらアリとの戦いは終わる?
        それでも食べ残しがあれば、また同じことの繰り返しになる
        だろう。
        ひとまず、いまいるアリだけでも【アリの巣コロリ】を試して
        みよう。






        ● 歩くまえのもうワンステップ… 

        糖尿病によって両足の膝から下を切断したガイソン。歩きたい!
        との思いが強く、義足をつくった。最初に切断した足のためにつ
        くった義足も合わなくなっていたからと作り直しもした。
        ようやく完成してからも皮膚に触れる部分の微調整のため、バン
        コクまで何度も通った。

        義足に触れる皮膚を守るために厚手のストッキングや布のバンテ
        ージがいるということで、ちょうど日本に帰ったときに購入して
        きたこともあった。

        ようやく現状にぴったりのものができた!これで思う存分歩く練
        習ができる♪と意気込んでいたのに…体重が重くなりすぎて負担
        が大きくて歩くどころではなくなってしまった(^_^.)
        歩くまえに、まずはダイエット!で、ぽんぽこりんのおなかを何
        とかしなくては!!









        ● ロッブリー名物 


        ロッブリー県といえば、猿が有名。鉄道の駅前には、猿に餌を
        やるうちにのっとられてしまった寺がある。えさ場をつくって
        日に2度たっぷりとえさをあげているが、猿はそれでは足りず、
        近くを歩く人々を襲う。その区域はどんどん拡大されて遺跡を
        含め、街全体にに被害が及んでおり、建物自体を鉄格子で保護
        しているが、この鉄格子をジャングルジムのようにしてのぼっ
        て、昼も夜もなく、全体重をかけて揺らしているのだからたま
        らない。

        一番被害が大きい地域であるロッブリー駅近辺の市内からパバ
        ナプ寺はだいたい車で20分ほど離れていて、もともと寺の中
        には猿はいなかった。山には住んでいたのかもしれないが、人
        のいる領域には姿をあらわさなかった。それがいまでは、病棟
        の裏手の倉庫部分にまでやってくるようになってしまった。人
        が近づくと一定の距離を保つように逃げていくので、まだ人を
        襲うことはない。

        こんな風に今まであらわれなかった場所にも来るようになって
        しまったのには、やはりきっかけがある。豆乳のパックを猿に
        あげてしまったのだそうだ。味を知ってしまった猿は、数匹の
        仲間をつれて同じ場所にやってくる。その様子で安心したのか、
        寺の中の他の場所でももちらほら姿をみるようになった。確実
        に棲息地域は広がっている。





        重症病棟の倉庫に積んであるものが猿に荒されるようになった。
        そこに食べ物はおいていないので、怒ってそこにあるものを探し
        まわり、ものがはいっていそうな袋がひきちぎられてる。
        山に十分な食べ物がないのだろうか?人間の食べ物を与えてしま
        ったことで、もうこれから悪に乗っ取られてしまった街のように
        日々猿用にえさ場をつくり、観光地になってしまうのだろうか?