2013年1月25日金曜日

【 滞在記27 】 【2012.12.07 ~ 12.16 】



       ● パバナプ寺20年周年記念兼アロンコット師誕生日


        パバナプ寺が開設してちょうど20年がたった。
        12月9日はアロンコット師の誕生日に盛大にお祝い
        の場が設けられた。

        当初は特にエイズ患者を受け入れるための寺だった訳
        ではない。どこにも居場所のない患者を目のあたりに
        した師が、お堂に簡易ベッドを設置して患者の看護を
        したのがはじまりだという。
        今は協力体制にある病院にも、近隣の人々からも大反
        対を受けて村八分状態。どこに托鉢に出向いても誰か
        らも見向きもされなかっただけでなく、ずいぶん嫌が
        らせを受けたのだそうだ

        それが今ではタイでは知らぬ人がいないくらいの有名
        な寺になり、ロッブリーだけでなく、タイのあちこち
        から大勢の信者がお祝いに駆けつけるようになった。
        普段から寺にやってくる数百人の参拝客は見慣れてい
        るが、すれ違うこともままならない程の混雑は、8年
        勤務するスタッフも初めてのことだという。(この日
        の来客は2000人を超えるとも)
       
        誰がなんと言おうと、信じたことをやり続けることが
        どれだけパワフルなことか!
        人々の中に根ざす奥深い差別と偏見の問題は未だ解決
        したわけではないが、不可能なんてないと思える、何
        とも感慨深い日であった。              


                寺へ続く道にたつお祭りの案内看板

人がたくさん集まるところには
どこにもやってくる宝くじ売りが早朝から門前にやってきた

朝8時前から老若男女でごったがえす園内

思い思いのごちそうの屋台が100店ほど並ぶ
全部無料の食べ放題!
人気の屋台には長い行列ができ、売り切れ続出

(photo from Wat Phrabatnampu)
アロンコット師も分刻みのスケジュールをこなす  

 お祝いのお布施

ゲームに妖精セットをプレゼント
ピンクがお気に入り♪

 一年ほど前に義理の母の田舎に引っ越したアームも
ファミリーでお祝いに駆けつけた。
以前寺に滞在していた人々の懐かしい顔も多くみられた 

手に手に大きな袋、主には生活必需品だというが、
なかには扇風機をもって帰る人もいたり~
1回20バーツのくじびきは大人気!!

中国風の獅子舞
奉納する人がお供え物を置くと、
獅子が踊りながら受け取ってくれる

夜の部は、寺の門のすぐ横の広大な空き地に会場を設営し、
コンサート、コメディショー、盛大なうちあげ花火、
最後はコムローイ(灯籠飛ばし)で締めとなった






      ● 一番のくすり♥


        故郷から離れて寺で暮らす患者にとって、何よりも
        一番の薬といえば、やっぱり家族のお見舞いに違い
        ない。もう何日も前からそわそわして、落ち着かな
        い様子で夜も眠れない。
        CD4の値もあがっちゃうに違いない♪


 バンコクに住むサルワイの自慢の娘たち。
左半身に麻痺のある父の洗濯物が、ちゃんと区別がつくように
名前を刺繍した洋服を用意してくる

タイの南部からほぼ1日かけてやってくる妻と息子に
守衛の仕事をするソムチャイ。
長い学校の休みを首を長くして待っている。
家族で寺の中で暮らすことも考えてはいるが、まだ決心がつかない

バンの育ての親がやってきた。
刑務所で8年過ごしたあとに寺にやってきたバンを
【 この子はねえ、小さい頃からほんと寂しがり屋だったんだよ。
寂しい時はなぜか体を掻くの。おかあさんもよく背中掻いてあげたね。
ほら、よく眠れるように掻いてあげるよ 】といって愛しそうに息子を抱き寄せた。
つい、ふだん憎まれ口をたたくことが多いバンも、子猫のようになってしまう。





        
      ● 偽おしっこ 


        おむつを替えてくれと呼ばれるのがやけに頻繁で、
        しかもおむつの濡れ方もなーんか違う…なんだか
        わからないけど、違和感があった。
        においも色もないような…

        ナレーは、ものすごく涙もろくなっている。
        バンコクにいる家族がもう愛想をつかして、電話
        にも出ないのだそうだ。

        最初から左目には白内障が見られたが、目に菌が
        はいり、まるで魚の胃袋のようなものが目から飛
        び出し、膿がでてくるようになった。
        近くの病院で見てもらったら、手術したほうがい
        いというのだが、そのためにはバンコクで家族の
        サポートを受けることが必要になる。
        その知らせを聞いた家族はそんなことはしなくて
        いいから、ほっといてくれと言うのだそうだ。

        おむつの違和感は、結局ナレーがペットボトルの
        水をおむつにじゃーっとやっているところを見て
        しまったことで解決した。
        【 どうして? 】と聞くと【 わからない 】
        と言う。何も言えなかった。

        
 痛みを感じないのは不幸中の幸いでしょうか。
ふだんはガーゼでおおっているのだが、
気になって触ってとってしまう。
        

左半身は力が入らず寝たきりだったが、車椅子にも自力で乗れるようになった。
そして、この数日はベッドの周りの手すりをつかまりながら歩行訓練をスタート。
無理のない程度の運動だが、顔色はすこぶるよくなった。
半身不随であってもというか、だからこそ、可能な限りの運動はとても重要なのだ。






      ● 朗読のお手伝い



        

         職業訓練期間にやってくる学生さんたち。
         視力がわずかしかなくなってしまったタックに
         本を朗読する。

         学生さんたちが帰ったあとタックがいった。
       【 ほんとはさー、あの読んでくれた本に興味があ
         るわけじゃないけど、自分のためにそんな風に
         してくれるってこと自体うれしいよね 】