● 卒園式
あるとき、トゥイが、【 ねえ、一緒にきてよ。午後1時間
でいいから 】といった。
その日は、トゥイの愛娘ニンちゃんの幼稚園の卒園式がある
という。その日はどうしても予定があわず、外にでることは
できなかったが、写真を撮ってほしいのだということがわか
ったので、カメラの扱い方を教えてお貸しすることにした。
3時間ほどして、満面の笑みのトゥイが帰ってきた。
担任の先生と
大人顔負けばっちりメイクのニンちゃん
ママとニンニン
トゥイの奥さんのリンはHIV陰性だが、
夫とともに寺で暮らすことを選んだ。
食堂で料理と給仕のお手伝いをしている
仲良し父娘
● こんなときにも大活躍の【はさみ】
もともとの体質も関係あるようだが、歯や歯茎にトラブル
がある方が多い。
歯磨きの習慣が定着していないことや、病床にあるため、
自分で洗面所まで行けないこと。それに、歯を磨いたほう
がいいことは知ってはいても、そこまで重要だと思ってい
ないという人も意外に多かった。
…その結果虫歯になり、歯医者にも通いづらいため、悪化
する一方。
なかには【なにもしないのに、急にぽろっととれたんだよ】
と、抜けた歯をみせてくれた人もいた。
歯ってぽろっととれるの?
食欲があって食べたい。でも、ふつうの歯が数本しかなく
て噛めない。歯茎が腫れて痛いけど、おかゆにはもう飽き
たからふつうの食事がいいなあ。
そんな人のために、大活躍してくれるのが【はさみ】
フードプロセッサーやすり鉢ですりつぶしたら、飲み物に
なってしまうけれど、はさみなら、まだ食べ物の風味を味
わえるのかもしれない。
● 副作用
HIV/AIDSの治療は、患者の症状によって、また、体質に
よって服用できる薬がかわってくる。
多くの種類の薬を併用することによって、予後の状態を大
幅に改善することになったという。しかし、それによって
副作用や、治療薬剤に対して耐性を獲得したウィルスの出
現につながることになった。
薬剤があわず、皮膚に症状を抱える人もいる。皮膚の色が
色素がぬけて白と茶になってしまった人。
皮膚が乾燥してがさがさになり、ぼろぼろと剥けて、湿疹
をともなうこともある。
乾燥しているときはてきめんで、痒みに襲われ、痒み止め
も気休め程度しか効かずに、結局はワセリンを塗り続ける
ことが精一杯。
タイ東北地方出身のレム 全身の皮膚が常に赤むけ状態
かゆみもあり、あちこちに血がにじむ
このときは、まだ小康状態
これがないと大変!
薬局で売っているワセリンだと、一日しかもたないので
バケツサイズのワセリンが必需品
● 目指すところ
マイノリティならば社会が手を差し伸べてくれると思ったら
大間違いだし、ゲイであろうとなんだろうと、自分が理解さ
れないことを誰かのせいにしたら、そこで終わりだと思う。
世の中において、
これが正しい、これが間違っている、到達点だという、絶対
的なものは存在しない。ゲイは、そのことを普通の人よりも
理解しうるチャンスが多い人種だと思っている。
マツコ・デラックス (2012/7/14 週刊東洋経済)
弱者を健常者より丁寧に扱い、特権を設けることだけでは、
決定的な何かが解決には至らない。
プライドより、誇りを胸に、誰もが対等である社会を目指
そう。