● お正月
特に昨年の寺の20周年からは、イベントがゴージャス
になってきていて、今年のお正月は有名な歌手のコンサ
ートやコメディアンの漫談と、もりだくさんのプログラ
ムに、外部からの訪問客も大勢やってきて大盛況。
ライブ会場の舞台の前では、タイの伝統舞踊のひとつで
あるラムタイという踊りをベースに思い思いに踊る人で
ごったがえしている。その踊りは、両手を上にあげて左
右にふり、足を交互にあげる動きは沖縄のカチャーシー
に似ている。
もちろん、水かけも無礼講で、安全だと思っていた病棟
にも、軽症患者さんが大勢押し寄せて水をかけにくる。
この場合、ばしゃーっとバケツで水をまくのでなく、
【新年おめでとう!ごめんね、かけるね】といいながら、
ペットボトルで、頭から、背中に、胸元に水をそそがれ、
香りつきの水にといた白い粉をぬる。そして、かけられ
たら、同じように【新年おめでとう~!】とお祝い返し。
暑いからと、わざわざ氷水を用意している人も…思わず
ぎゃーーっ!
氷水をかけられた直後のワンナーと、笑いをこらえるノイ お正月だもの 無礼講 無礼講
街でも 無礼講
車だろうがバイクだろうが 歩いていても 水かけの洗礼がまっている
(どこにでも象が参加しているわけではありません)
● つめ
使われていないところが衰えるのは、どこの部分でも
同様である。足を使わなくなると、足の筋肉は衰えて
関節部分はぎしぎし。末端の指や爪は形状がかわり、
菌が繁殖しやすくなる。
それはHIVのためではなく、日本で、比較的お世話の
いきとどいていると思われる、介護付有料老人ホーム
でヒーリングケアボランティアとして伺っていた際に
も驚くほど様子が似ていた。
爪が肥厚し、爪の水虫や疥癬をくりかえし発生する。
タイと日本では気候も環境も病気も、全く異なる状況
下でも似たような状態がおこるのは、体質や老化、抵
抗力によるものなのだろうか。
厚くなった爪が内側に巻き込み、ほおっておくと指にくいこむ
厚いところは、爪切りもはいらない
治療薬もあるそうだが、効き目は個人差があるという。
やすりの圧で爪がはがれないように気をつけてけずる。
(爪みずむしの方の場合は、要てぶくろ着用)
● 感染防ぐ遺伝子変異
白人の100人に1人が、エイズ感染を防ぐ遺伝子変異
を持っていることが研究で明らかになっている。
この変異を持っているのは、白人だけで、黒人や日本人
からは見つかっていないのだという。
遺伝子に変異がある人は、ウイルスの攻撃からリンパ球
を守るタンパク質が大量につくられるため、リンパ球の
減り方が半分程度になり、人によって病気の進行が2倍
ほど遅くなるという。一般的にウイルスに感染してから
発症するまでの期間は、早くて2~3年、平均10年程
度といわれているが、1年以内の発症、25年以上たっ
て発症するケースもある。
そして更に、遺伝子操作によってこうした抵抗力をつけ
る研究が進み、マウスでのテストはうまく作用するとい
うが、この手法がヒトでも機能するのか。
(photo credit:Sangamo Biosciences)
CCR5遺伝子をT細胞から切り取る様子
AIDS専門医が、感染者から対象の細胞をいくつか取り
出し、遺伝子に手を加えて再び患者の体内に戻すという
方法が考えられる。
体内に戻された抵抗力のある細胞は、ウイルスをものと
もせず、盛んに増殖し、勢力をのばす。
この方法では体内に入ってしまっているウイルスを取り
除くことはできないが、二次感染に対する抵抗力や健康
を保つ能力が高まるはずだという。ただ、遺伝子に手を
加えることによる副作用などを含め、まだ未知数だが、
これからの研究に期待をかけたい。
● 粋な差し入れ
寺にきた訪問客が患者さんと意気投合して、寺に来れ
ないときでも、差し入れをしていることがある。
パソコンが得意な人が、ちょっと遊んでつくったよと
送ってくれたポストカード。
アメリカの俳優 ブラッド・ピットの写真に顔を切り
取って、患者さんの顔をはめてできあがり~。
あきらかにお面のように浮いているように見えるのが
あるのも、ご愛敬。
アンジェリーナ・ジョリーが隣にいるからと、ふざけ
て【むかし、アンジーがタイにお忍びで来てたとき、
つきあってたんだ。公になってはいないんだけどね。
いい女だったな~】
そんな冗談を言って遊んでいたら、目の悪い清掃担当
のおばさんが、目をまるくして興奮している。【あん
た、かっこよかったね~。すごいよ、この筋肉!】
大笑いする私たちに、訳がわからないおばさん。
ユーモアのある、気持ちのこもった差し入れだった。